世界で初めて首の筋肉と副交感神経の関係を発見

私がいかにして首の筋肉と自律神経の関係を発見し、治療法を確立したかを改めてお伝えしたいと思います。
私は、１９７７年よりむち打ち症の研究をしていましたが、１９８１年に首の筋肉の異常がむち打ち症のたくさんの不可解の症状の発生源であることを見つけました。
それは首の筋肉の異常が副交感神経の異常を起こすということを世界で初めて見つけたのです。それまでの医学の常識では、首の筋肉の異常は何の疾患も起こさないというのが常識でした。したがって、首の筋肉については医学上軽視され、医学部の解剖の授業でも飛ばされてしまって教えないという医科大学がほとんどでした。
私はさまざまな会合で医師免許を持っているドクターが首の筋肉をどれぐらい知っているか調査しましたが、僧帽筋と胸鎖乳突筋以外はまったく知らないというドクターがほとんどでした。

緊張型頭痛を起こすのが頭半棘筋の異常であることも世界で初めて発見して学会に報告したのですが、頭半棘筋を知っているドクターは、当時皆無に等しい状態でした。
このように首の異常が副交感神経の働きを悪くして、全身に考えられないほどの特異なたくさんの症状を起こすことの重要性を認識せざるを得なかったのです。
１９８１年当時、首の筋肉の異常はすべて肩こりの中に入れられてしまっていました。そこで首の筋肉の異常を肩こりから独立させなければならなくなったのです。それを表す適当な日本語がどこを調べてもありませんでした。
そこで、私は「首こり」という言葉を作り出して使い始めました。今でこそ首こりという言葉は大いに普及し、医薬品のＣＭにまで使われるようになり、普通の日本語の仲間入りをしたようです。

首コリが原因で起きている、さまざまな不調が首の筋肉の異常で起きているということを知らない人が多いのです。たとえば、いま急増している、うつや自殺が首の筋肉が原因であるなどということは誰も想像のつかない話です。アメリカでは、スマホの普及と10代、20代の若者（特に女性）の自殺が急増していることがわかっているのですが、その原因さえつかめないので、打つ手がない状態です。私はこのメカニズム、そしてその対策までできているので、アメリカをはるかに追い越しています。

慢性疲労症候群のときも同様でした。１９８４年にアメリカのネバダ州で強い疲労を訴える人が集団発生したとき、アメリカではエイズの次の第二の国民病だというのでニューズウィークの表紙にまでなって大騒ぎになりましたが、今でも原因もわからなければ治療もできません。
そのころ、我々のところでは慢性疲労症候群の患者さんが多数受診してきました。中学生、高校生で、体がだるくて朝起きられない、登校できないという患者さん、また社会人で体がだるくて出社できないという患者さんが多数受診してきましたが、全員が完治しております。
これは私の研究で副交感神経と原因不明の疲労が一体となっているほど密接な関係があることを発見したからです。そして副交感神経の治療も30年かけて完成していたのです。

最近アメリカで10代の若者の50人に１人が慢性疲労症候群で日常生活が送れず、その傾向は毎年増加していると言われていますが、原因がわかっていません。
ドライアイが首の筋肉の異常で起きるといってもみなさんは理解できないかもしれませんが、涙を出すことに副交感神経が深くかかわっているので首の筋肉の治療で副交感神経が治り、我々のところではほとんどの患者さんが治っています。

パニック発作の患者さんも最近増えていますが、パニック発作は安静にしているときに急に脈が速くなったり、息苦しくなったり、冷や汗が出たり、全身の症状が出て死ぬかと思うような発作が起きるのです。すべて副交感神経が関係している症状ですから、副交感神経発作と言ってもよいと思われる病気です。
今までたくさんのパニック発作の患者さんが受診していますが、ほぼ全員が完治しています。

むち打ちは、１９８１年に首の筋肉の異常を解明しているので、90％の患者さんが完治しております。残りの10％の患者さんも事故前まではいかないものの、日常生活には問題のないレベルまで改善しております。