頚椎捻挫、うつ症状が改善

症例 NO.018 28歳 女性

どこの病院へ行っても、異常なしで原因がわからず、15年間体がだるく、微熱が出て頭痛に悩まされ起きているのも耐えられなく休職し、退職まで考えた若い女性が頚性神経筋症候群の治療で症状が改善した。
症状経過

15年前、頚椎捻挫を受け牽引療法を受けた。その後、沢山の症状が出て、いろいろの病院、鍼灸を受診したが、原因がわからず、そのうち不眠やうつの症状も出てきて、精神科を受診した。坑うつ剤も処方され、たくさんの薬を飲んでいる。

日付 頸椎部のチェック 症状 合計


頸椎部のチェック図

頭が痛く頭を壁にこすり付けたくなるほどで、頚こり、肩こりで体調調節がうまくゆかず、年中風邪をひいている状態で、メマイふらつきがあり、歩いていてもつまづきやすい、吐き気もあり睡眠も薬を飲まないと眠れない。汗が異常に出る、急に心臓がドキドキして脈が速くなる、微熱が続く、胃腸の調子も悪く、全身倦怠で体中がだるく、すぐ横になってしまう。座っていても立っていても苦しい。何もする気がしなく、気が滅入って頭が熱く手足が冷たかった。

問診では30問中18の異常があった。他覚的には頚筋の9ヶ所のチェックポイント全部に異常が見られた。 はじめ、外来通院を20日間ほど続け、少し症状の改善の兆しが見られていたが、出来るだけ早く完全に治したいというので入院を勧めた。

入院時 頸椎部のチェック図 症状は入院時に21あった。

1   頭が痛い、頭が重い。
2   頚が痛い、頚が張る。
3   肩が凝る、肩が張る。
4   風邪をひきやすい。
5   メマイ、又はふらつきがある。
6   ふりむいた時や歩いている時、何となく不安定。
7   吐気がある。
8   夜寝つきが悪い。途中で目が覚める。
10 暖かいところに長時間おれない。体温の調節異常。
11 異常に汗をかきやすい。
12 静かにしていても心臓がドキドキする。動悸がする。
14 目が疲れやすい、または痛い。
16 目が乾燥する、又は涙が出やすい。
18 微熱がでる。
19 胃腸の調子が悪い。腹部膨満感がある。
20 座っていても、立っていてもだるい、横になりたい。
21 疲れやすい、何となくだるい、全身倦怠感。
23 天気が悪い日やその前日、症状が強い。
24 気分が落ち込む。気が滅入りそうだ。
25 集中力が低下して、1つのことに集中できない。
29 頭がのぼせる。手足が冷たい。しびれる。

21
1


頸椎部のチェック図 症状は 11と減少した。

1   頭が痛い、頭が重い。
3   肩が凝る、肩が張る。
5   メマイ、又はふらつきがある。
6   ふりむいた時や歩いている時、何となく不安定。
8   夜寝つきが悪い。途中で目が覚める。
11 異常に汗をかきやすい。
12 静かにしていても心臓がドキドキする。動悸がする。
14 目が疲れやすい、または痛い。
16 目が乾燥する、又は涙が出やすい。
19 胃腸の調子が悪い。腹部膨満感がある。
29 頭がのぼせる。手足が冷たい。しびれる。

11
3


うつの症状は消失し、仕事に戻りたいという意欲が出てきた。

11 異常に汗をかきやすい。

1
4


頸椎部のチェック図 症状は1となった。他覚的には頚の上端部の筋肉にまだ異常所見はあったが仕事の都合で退院し、あとは外来でfollow up することにした。

11 異常に汗をかきやすい。

1
体験記

「異常ありません」
15年間、どの病院に行っても、どの診療科目を受診してもこの言葉しか返ってきませんでした。
「気のせいじゃない?」
頭痛、微熱、だるさ・・・・・・様々な辛さを訴えても、誰にも分かってもらえませんでした。 これらの辛さの原因が15年前の頚椎捻挫にあるとは、全く考えたこともありませんでした。そしてこの15年間の辛さが、約2ヶ月の通院・入院によってここまで回復することも、全く考えてはいなかったのです。
15年続いている体調不良。この夏、症状が一層重くなりました。 頭痛、大量発汗、倦怠感、不眠、風邪症状・・・・・・これらをはじめとする10以上の様々な症状に悩まされていました。食事以外は起きていることもままならず、15年間続けてきた仕事も休職を余儀なくされ、退職すら考えていました。しかし、「15年間も頑張ってきた仕事を辞めるなんて」そんな思いもあり、また、少しでも辛さが軽減されれば、とも考え、私は東京脳神経センターの受診を決意したのです。
「頚性神経筋症候群」そう院長先生に診断いただいたのち、治療がスタートしました。最初の週は1日おきに、翌週からはほぼ毎日通院しました。鍼などの治療を受け、2週間を過ぎたころ、風邪症状がないこと、風邪をひきにくくなっていることに気がつきました。あまりの体調不良のため、通院以外はほとんど家に引きこもっていた私が、友人と食事に行ったのもこのころです。
通院して3週間を迎えたころ、入院の打診がありました。「香川かぁ、遠いなぁ・・・」正直そう思いました。
しかし、「長いこと苦しんできたんだ。ゆっくり治しておいで」との夫の言葉に背を押され、私は入院を決意しました。
入院生活が始まりました。鍼治療等、様々な治療メニューをこなしていく日々の始まりです。
入院して3~4日は先に述べた頭痛等の症状が続いており、早くも焦りを感じていました。 しかし、入院生活6日目に、少し症状が軽くなったのでは?と思うようになりました。これまでの私は、天候の悪い時に頭痛等の症状が強く出ていました。とても体を動かせる状況ではありませんでした。ところがその6日目は朝から雨。しかしながらこれといって「辛い」とは思わなかったのです。
「こんなに強く押すんですか?」院長先生に思わずそう叫んだことのある私が、今では気持いいと感じるようになったのですから。
月が変わりました。私の入院生活ももうすぐ1ヶ月を迎えるころでした。その日も院長先生の診察の日でした。今日はどうかな?治療を続け、自分の体調に手応えを感じていたころです。 「退院してかまいませんよ。」院長先生のありがたいお言葉でした。入院生活28日目のことでした。翌日私は退院し、無事、夫の待つ東京に戻ることが出来たのです。
今の、心身共に健康な自分があるのは約1ヶ月の入院生活のおかげです。入院しているその間にいつしか不安は消え、病院内の多くの人々の姿に励まされ続けました。院長先生をはじめとするスタッフの皆さんが懸命に治療をして下さり、看護をして下さるその姿に。様々な病気で入院されている他の患者さんたちの、懸命にリハビリをうけられるその姿に。何より、私と同じ症状で苦しみ続け、辛さを、思いを共にし懸命に治療を受け続ける仲間たちのその姿に。そうして私は「みんなと一緒にがんばろう。早く治して家に帰ろう。仕事に戻ろう」そんな前向きな、もとの自分を取り戻していったのです。入院中はTV、携帯サイト・メール閲覧や読書を控え安静にするよう説明され、どうしたものかと思ったものです。しかし私はそれらを忠実に守りました。早く家に帰るにはそれしかなかったのです。結果として、早期退院が可能となりました。あの時の我慢(?)が功を奏したのでしょう。あの時のメールやTVの我慢が今の幸せにつながったんだなぁ・・・私は今そう思っています.
15年間、悩み、苦しみました。前向きで快活な自分が、自分ではなくなっていました。そんな私が治療を受け、立ち直り、心身共に健康を取り戻しました。来月から仕事にも復帰します。全てを乗り越えた今の私の目に映るもの。それは、穏やかで、笑みこぼれる、私の「これから」です。